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The 'Big Six' 誤訳

2014年02月09日

セカンドライフの行動規範である「The 'Big Six'」。Avilionは「The 'Big Six'」を尊重し、「Avilion Chater(アビリオン憲章)」もその理念を大切にしてつくられています。
The Big Six 誤訳

6つの項目のうち4番目が英語のままなので、ある方が翻訳してブログに載せています。

ただ、ずいぶんと原文のニュアンスを変えてしまい、「The 'Big Six'」の趣旨が誤解されてしまう可能性があります。

規範や法律などは、まず前文で趣旨を書きます。そして、それを各項目に具体的に落とし込んでいきます。趣旨を理解していないとトンチンカンな翻訳になってしまいます。

「The 'Big Six'」の前文は次のような書き出しです。
「We hope you'll have a richly rewarding experience, filled with creativity, self expression and fun.」
「私たちは、あなたが創造性と自己表現と楽しさに満ちた、十分にやりがいがある経験をしてくださることを望んでいます」

そして、
「The goals of the Community Standards are simple: treat each other with respect and without harassment, adhere to local standards as indicated by simulator ratings, and refrain from any hate activity which slurs a real-world individual or real-world community. 」
「コミュニティ規範の目的はシンプルです。それは、尊敬の念を持って、いやがらせをすることなくお互いを扱い、シミュレーター・レイティング(ModerateやAdultなどの設定)で示されているその地域の規範をかたく守り、現実世界の個人やコミュニティを中傷するいかなる憎悪活動も控えるということです」
と続きます。

こうした趣旨を具体化するために6つの項目にまとめられて、4番目は「Disclosure(開示)」について書かれています。

ある方はその冒頭の重要な箇所
「Residents are entitled to a reasonable level of privacy with regard to their Second Life experience. 」

「SL住人には自身のプライバシーを保護する正当な権利があります。」
とかなり適当に訳しています。

「reasonable level」は「正当な」ではなく「合理的なレベル」です。欧米では判断の基準として「合理的なレベル」を使うことがよくあります。

たとえば、旅客機の安全対策を検討する際に、全員分のパラシュートを装備することは人命尊重の観点では正しいのですが、それではコストがかかりすぎてビジネスとして成り立たないので、合理的なレベル(ビジネスとして成り立つレベル)の対策をするといったようなケースです。

プライバシーを守るのは大切ですが、何でもかんでも当人の同意がなければ開示するな!では、とても窮屈な世界になってしまいます。「ある人がこんなすばらしい活動をしている」と友達に話したり、ブログに書いたりすることができなくては、セカンドライフは楽しいコミュニティには育っていきません。

そこで、「尊敬の念を持って、いやがらせをすることなくお互いを扱う」という趣旨にのっとり、「合理的なレベル」で判断していくことが重要になるのです。上記の翻訳ではこの大切な前提条件を誤訳し、さらに何のプライバシーなのか省略されています。

「住民には、セカンドライフの経験に関する合理的なレベルのプライバシーがあります。」
と訳すのが正しいと思います。

ちなみに、上記の誤訳をなさった方のブログでは、セカンドライフ内の他者のノートカードや発言をネタにして中傷していることが度々ありますが、そうした行為は明らかに「The 'Big Six'」違反です。「The 'Big Six'」を誤訳して誤解なさっているようです。

Posted by Ranger F at 10:37│Comments(0)Avilionの英語

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